戦後、怒涛のように日本に流れ込んで来たアメリカの文化は、陽気で力強いエネルギーに満ちていました。音楽や映画とともに若者を魅了したのがジーンズです。それは汚れに強く丈夫で、瞬く間に粋な着こなしの必須アイテムになったのです。
そして、すでに繊維の町として確固たる地位を築いていた児島は、国産ジーンズづくりに着手します。当時の日本には分厚いジーンズ生地を織る織機もパワフルなミシンもなかったため、生地とミシンを輸入するところからの挑戦でした。「初の国産ジーンズ」が誕生したのは1960年代半ばのことです。

現在、「Made in Kojima」はジーニストの間に確固たる地位を築いています。正確で緻密なミシンワークやステッチワークの高い完成度など、日本らしいモノ作りへのこだわりが、世界に認められたのです。国内外の有名ブランドからは発注が引きも切らず、人々は児島を「ジーンズの聖地」と呼ぶようになりました。

繊維業で栄えた児島には、昔から「染め」「織り」「縫製」の確かな技術力がありました。ジーンズ作りにもそのこだわりは徹底され、現在では染めから織り、裁断、加工まですべての工程を県内で行っています。その日本人らしいモノ作りへの情熱が結晶した「Made in Kojima」だからこそ、国内外一流ブランドからの発注はもちろん、地元ジーンズメーカーも人気ブランドへなったのです。まさに児島を「ジーンズの聖地」にしたのは、この卓越した世界が認めた職人技なのです。（Vol.2へ続く）